建築物省エネ法

 

背景

東日本大震災以降のエネルギー需給の逼迫を受けて、産業・運輸部門におけるエネルギー消費量は減少しています。これに反し、建築部門のエネルギー消費量は著しく増加しており、省エネ対策の抜本強化が必要不可欠なことから、平成27年7月8日、新たに「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」が公布されました。

法律の概要

建築物省エネ法は、建築物の省エネ性能の向上を図るため、①大規模非住宅建築物の省エネ基準適合義務等の規制措置と、②省エネ基準 に適合している旨の表示制度及び誘導基準に適合した建築物の容積率特例の誘導措置を一体的に講じたものとなっています。
誘導措置等は平成28年4月1日に施行され 、規制措置は平成29年4月1日に施行されました。

規制措置・誘導措置

出典 「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)の概要」
(監修:国土交通省  発行:一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

規制措置の対象となる建築物

規制措置の対象:一定規模以上の建築物の新築・増改築が対象

建築主は一定規模以上の建築物の新築・増改築をしようとする場合、その用途や規模等に応じ「適合性判定(省エネ基準に適合していることの所管行政庁等による判定)」や、「所管行政庁への届出」などが必要となります。
適合性判定の対象となる建築物については、省エネ基準に適合していなければ建築基準法の確認済証の交付を受けることができなくなりますので注意が必要です。

定規制措置の対象となる建築物

出典 「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)の概要」
(監修:国土交通省  発行:一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

誘導措置の対象となる建築物

誘導措置の対象:全ての建築物

省エネ性能の向上に資する全ての建築物の新築または増築、改築、修繕、模様替え若しくは建築物への空気調和設備等の 設置・改修を対象とし 、その計画が一定の誘導基準に適合している場合、その計画の認定 (性能向上計画認定) を建設地の 所管行政庁により受けることができます。
性能向上計画認定を取得すると、容積率特例(省エネ性能向上のための設備について、通常の建築物の床面積を超える部分を不算入(上限10%))などのメリットを受けることができます。

全ての建築物

また、既存建築物については省エネ基準に適合していることの認定を建設地の所管行政庁により受けることができます。(※新築の場合は建築物竣工後に認定を受けることができます。)
認定を受けると、対象となる建築物の広告や契約書などに、法で定める基準適合認定表示(eマーク)を付することができるようになります。

出典 「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)の概要」
(監修:国土交通省  発行:一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

非住宅用途に係る基準

非住宅の省エネ性能の評価には下記の2つの基準を用います。
• 非住宅の窓や外壁などの外皮性能(PAL*(パルスター ))を評価する基準
• 設備機器等の一次エネルギー消費量を評価する基準

外皮性能 (PAL*) と一次エネルギー消費量のイメージ

外皮性能 (PAL*)

◎ ペリメータゾーンの年間熱負荷係数

PAL*=各階のペリメータゾーンの年間熱負荷(MJ/年)ペリメータゾーンの床面積の合計(㎡)

◎ 1年間における①~④までに掲げる熱による暖房負荷及び冷房負荷を合計したもの。

① 外気とペリメータゾーンの温度差
② 外壁·窓等からの日射熱
③ ペリメータゾーンで発生する熱
④ 取入外気とペリメータゾーンとの温湿度の差及び取入外気量に基づく取入外気の熱

ペリメータゾーンとは

各階の外気に接する壁の中心線から水平距離が5m以内の屋内の空間、屋根直下の階の屋内の空間及び 外気に接する床の直上の屋内の空間をいいます。

一次エネルギー消費量

+ 空調設備一次エネルギー消費量
+ 換気設備一次エネルギー消費量
+ 照明設備一次エネルギー消費量
+ 給湯設備一次エネルギー消費量
+ 昇降機一次エネルギー消費量
+ その他(OA機器等)一次エネルギー消費量
一 エネルギー利用効率化設備による一次エネルギー消費量の削減量

= 一次エネルギー消費量

出典 「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)の概要」
(監修:国土交通省  発行:一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

住宅用途に係る基準

住宅の省エネ性能の評価には下記の2つの基準を用います。
• 住宅の窓や外壁などの外皮性能を評価する基準
• 設備機器等の一次エネルギー消費量を評価する基準

外皮性能と一次エネルギー消費量のイメージ

外皮性能

◎ 外皮平均熱貫流率(UA)による基準

UA = 単位温度差当たりの総熱損失量/外皮総面積

◎ 冷房期の平均日射熱取得率(ηAC)による基準

ηAC=単位日射強度当たりの総日射熱取得量外皮総面積 X 100/外皮総面積

一次エネルギー消費量

+ 暖冷房設備一次エネルギー消費量
+ 換気設備一次エネルギー消費量
+ 照明設備一次エネルギー消費量
+ 給湯設備一次エネルギー消費量
+ 昇降機一次エネルギー消費量
+ その他(家電等)一次エネルギー消費量
一 エネルギー利用効率化設備による一次エネルギー消費量の削減量

= 一次エネルギー消費量

出典 「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)の概要」
(監修:国土交通省  発行:一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

省エネ性能の水準の異なる3つの基準について

一次エネ基準(BEI)は、が表中の数値以下になることが求められる。
※1 家電・OA機器等を除く

外皮性能と一次エネルギー消費量のイメージ

※2 住宅の一次エネ基準については、住棟全体(全住戸+共用部の合計)が表中の値以下になることを求める。

省エネに関する表示制度

法第7条に基づく建築物の省エネ性能表示のガイドライン

住宅や建築物(オフィスビル等)の新築時等において、国が定める基準以上の省エネ性能をアピールすることができます。

やじるし

第三者認証の例(BELS)
第三者機関が性能を評価し、省エネ性能に応じて5段階で★表示。

BELS
(非住宅、複合建築物用)

法第36条に基づく省エネ基準適合認定・表示制度

既存住宅や既存建築物(オフィスビル等)の改修時等において、国が定める省エネ基準への適合をアピールすることができます。

やじるし

省エネ基準適合認定マーク
行政庁による基準適合認定を受けていることを表示。

建築物エネルギー消費性能基準

関連リンク
国土交通省 建築物省エネ法のページ